ドライアイは元々涙の出が悪くて目が乾燥する状態のことを言っていました。
現在でもその状態のこともドライアイと言います。ただ、ドライアイの定義が徐々に変化し、現在では涙の量的な異常だけではなく、質的な異常(瞬きした後にどれくらい涙が眼の表面を十分覆っているかで判定します。)や、乾いた感じがするなどの自覚症状、目の表面に傷がついているか、さらに視力障害の有無などで総合的に判断されます。
軽傷なら少し目に異物感を感じたりする程度ですが、重症化すると黒目の表面が傷だらけになり視力低下などの原因になります。
状態によっては涙の分泌量が増すことがあり、そのため
流涙症なのにドライアイの診断が下されることがあります。
治療として以前はヒアルロン酸ナトリウムの点眼液がほとんどでしたが(今も主力として使われています)、最近は目の表面から分泌されるムチンというネバネバしたタンパク質の量を増やす点眼薬であるジクアホソルナトリウム(商品名ジクアス)やレバミピド(商品名ムコスタUD)などが発売され(2012年にNHKの「ためしてガッテン」を見て知っていらっしゃる方も多いかもしれません)、これまであまり治療効果があがらなかったでも、症状がよくなることが増えてきています。(ただ、どちらの点眼薬も多少問題があり、ジクアソホルナトリウムはかなりしみるという方がいらっしゃいますし、レバミピドは薬が鼻涙管という目と鼻や口の奥をつなぐ管を通って口の方に流れていくとかなり苦いという問題があります。また、それが点眼直後だけではなく、ある程度、場合によっては数日してから口の方に来るときもあります。さし心地などの面ではヒアルロン酸ナトリウムの点眼にはかなわない面があります。)
また、海外では目の表面の炎症がドライアイと密接にかかわっていて、炎症を抑えるステロイドや免疫抑制剤の点眼が行われることもあります。
また、涙の分泌量が非常に少ない重症のドライアイの方には、鼻涙管の目の方の出口である涙点を涙点プラグという栓で塞ぐ、もしくは手術的な方法で塞いでしまい、涙を目に少しでもためておく治療が行われます。