霰粒腫、麦粒腫
まぶたが赤くはれて痛みを生じている状態を、関西では「めばちこ」それ以外の地域では「ものもらい」と呼んだりします(めいぼという地域もあるようです。)。正確には麦粒腫という病気と霰粒腫という病気を合わせてそう呼んでいます。
麦粒腫というのはまぶたの汗腺や脂肪などの分泌腺に細菌感染を起こし腫れている状態の事です。
霰粒腫というのはまぶたの中にある瞼板という硬い組織の中にあるマイボーム腺という脂肪分泌腺が詰まって、脂肪がたまっている状態のことです(この状態だとこすれてごろごろすることはあっても痛みはほとんどありません。)。そこに細菌感染を起こしてい化膿している状態を急性霰粒腫と呼びます。治療をして、ある程度落ち着いても硬いしこりが残ったりすることがありますし、一度よくなっても再発することもあります。
麦粒腫なら膿がたまっているときは針を刺したり、切開したりして膿を出して、抗生物質の内服・点眼をで、様子を見ます。
霰粒腫の場合、急性霰粒腫なら針で刺したり、圧迫したりして膿を出して、抗生物質内服と点眼を行い様子を見ます。それで、細菌感染が落ち着き、硬いしこりもある程度吸収されて目立たなければそれ以上のことはしません。しかし、感染は落ち着いたものの、硬いしこりが残って目立つときは、硬いしこりの中にステロイドの注射をするとよくなることが多いです。(ただ注射をして翌日にはよくなるというものではありません、2週間くらいはよくなるまでにかかると思っていただいた方がよいです。)
ただし、ステロイドの注射をしても駄目な時や、一度よくなっても繰り返す事が多い場合は切開し、硬いしこりの部分を摘出することがあります。(最近ではそこまでしないといけない人は多いとは言えませんが。)また、注射でよくならずに切開が必要になった方の中には、実際には霰粒腫ではなく、腫瘍(悪性とは限りませんが)であることもあり得ます。
市販の点眼薬程度ではそれほどよくはならない事も多いですし、悪化してからだと膿がいっぱい出たり、硬いしこりが大きくなりやすかったりしますので、できれば早めに受診していただいた方がよいと思います。(どこかの痛み止めのCMで、「これでダメなら病院へ行けよ」というのがありますが、医療者の立場からすると、悪化して困った状態になる前に治療させてほしいというのが本音ではあります。)